リーマンショックで学んだことを活かす

 

2008年9月にリーマンショックが起こったとき、私は会計事務所の職員として働いていました。世界的な不況になったので、当時は海外展開をしている製造業関連の会社の売上が大きく落ち込みました。

コロナの影響は、観光関連業、飲食業が特に大きいのが当時と異なる点で、より幅広い業種が厳しい状況に置かれています。

 

現在の厳しい状況を乗り切るために、
私が知っている会社がどのようにリーマンショックを乗り切ったのかご紹介します。

 

① 使える補助金は全て活用する。
リーマンショックの時は、雇用調整助成金が主に活用されました。今は、次のようなものがあるので、漏れなく申請できているかどうかチェックしましょう。
 ・持続化給付金
 ・家賃支援給付金
 ・雇用調整助成金
 ・小規模事業者持続化補助金
 ・各都道府県、市町村独自の補助金

   
② 銀行からできるだけ多く借入をする。
手元資金がなくなれば事業を継続することができず、ゲームオーバーになってしまいます。大きな金額を借りて将来返せるかどうかという不安はあると思いますが、まずは今の大波を乗り切るために、できるだけ多くの資金を借り入れます。大波は必ずひくものなので、チャンスがくるまで辛抱強く、今できることをします。
 
リーマンショックの時も最大8,000万円の緊急融資があり、一旦借りられるだけ借りて、タイミングを見て、全額返済したケースがありました。

現在は日本政策金融公庫で最大3,000万円、ほぼ金利なしで借りることができます。
保証料なしの制度融資もあり、取引銀行がバックアップしてくれます。今はリスケジュール中の会社でも融資を受けることができ、1度融資を受けた後に追加融資を受けることも可能なので、柔軟に対応してもらえます。

仕入先の支払いを遅らせることは、会社の信用を大きく損なうので、決してしてはいけません。

③ 資産を売却して現金化する。
株、車、不動産など、現金化できるものを売却します。私の知っている社長はランドクルーザーに乗っておられましたが、リーマンショックが起こってすぐに売却されました。ランドクルーザーは海外でも人気の車種で、下取額がすごく高いんです。危機に備え、車は売るときの査定額も考えて買いたいものです。

④ 経費削減をする。
試算表だけでなく、総勘定元帳を見て、徹底的に経費を削減します。総勘定元帳まで見ない社長が多いですが、試算表を見るだけでは不十分です。マーカーを片手に持ち、削減できる経費すべてにマークをしていきます。

人件費をカットするときは、順番があるので注意が必要です。

1.退職者の補充をしない。

2.パート、アルバイト代のカット

3.役員報酬のカット
正社員の人件費に手を付ける前に、役員報酬を減額しないことには、人がついてこなくなってしまいます。リーマンショックの際には、月額60万円から30万円に半減させたケースがありました。

4.賞与のカット

5.残業手当のカット

6.諸手当のカット

7.本給のカット

8.人員削減

⑤ 再建計画書を作る。
売上を回復するためにいまできることを書き出し、社員と協力して一つずつ実行していきます。社員のアイディアを聞き、社長が中心となって知恵を結集します。箇条書きでも立派な計画書です。銀行や税理士に丸投げして作った計画書は机上の空論に過ぎず、作る意味はありません。

 

危機に大事なことは、「決断は1秒でも早く、則、行動する」ことです。

月次決算を早期に黒字化すれば、再建の道筋が必ず見えてきます。

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