相続税対策の基本

市役所などで開催される無料税務相談の相談員をさせて頂く機会があるのですが、相続税に関する相談が多いですね。2025年に団塊世代が一斉に75歳に突入するのを控え、相続税は身近な相談テーマの一つとなっています。

相続税は全てのケースでかかるわけではなく、相続全体のうち8%程度になります。残りの92%のケースでは、相続税はかからず、税務署に申告する必要もありません。

相続税がかかるかどうかは、財産の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。)が、次の基礎控除額を超えるかどうかが基準になります。

基礎控除額 3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税対策の第一歩は、まず財産の棚卸をして、その合計額が基礎控除額を超えているかどうかを把握することになります。基礎控除額の範囲内であれば、相続税の心配は不要です。

次に、基礎控除額を超えている場合、現状の財産額でどれぐらい相続税がかかるのかを見積ります。

インターネットで「相続税早見表」等のワードで検索すれば、財産額、法定相続人の数に応じた早見表が出てきますので、予想される相続税を納付できるだけの現預金があるのかを確認します。

多くのケースでは、次の3点の対策をすれば、財産の合計額を減らし、納めるべき相続税を減らす効果があるとともに、納税資金を準備することができます。

1 生命保険の非課税枠活用 500万円×法定相続人の数

2 小規模企業共済の非課税枠の活用(事業者の場合) 500万円×法定相続人の数

3 110万円の非課税枠を利用した贈与

この相続税対策の基本中の基本の対策ができていないケースが意外に多いので、まずはここからはじめることをお勧めします。

かつては、相続税対策としてアパート経営がはやりましたが、少子高齢化で将来が見通しにくい現在において、不動産を活用した相続税対策は慎重に行うべきだと思います。「〇〇年家賃保証」などといった甘い言葉に騙されてはいけません。途中で家賃引き下げを求められる例が多くあります。

その他にも養子縁組、法人設立等様々な相続税対策がありますが、上記3点の基本をしっかり押さえていれば、多くのケースで相続人が納税に困ることはないでしょう。財産のほとんどが不動産の場合は、延納や物納などの対策を講じる必要がありますので、数年かけて計画的に進める必要があります。

子供や孫たちが相続税で困ることがないように準備をしておくことは、大切な終活の一つです。

 

 

 

 

 

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