中小零細企業のM&A

中小零細企業の支援をさせていただいている私もM&Aという言葉をよく耳にするようになりました。M&Aとは、有償・無償で会社を合併・買収することを言います。日本電産が経営不振に陥った会社のM&Aを繰り返し、買収した会社をほとんど立て直して急成長してきたことは有名ですね。

中小零細企業でも、知り合いの社長の引退等に伴い会社を買い取るという話はあり得るものです。税理士の業界でも、資格を持った税理士が何らかの理由でいなくなったため、事務所の顧客・職員を、丸ごと引き継ぐことがあります。私が過去に勤務していた事務所でも実際にありました。今は、M&Aのマッチングサイトも多数あり、中小零細企業にも身近な話になってきています。

M&Aには、①株式譲渡方式と、②事業譲渡方式の2つのパターンがあります。

①株式譲渡方式とは、会社の経営権である株式を買い取って、会社をそっくりそのまま丸ごと譲り受ける方法です。

②事業譲渡方式とは、事業の一部を、有形・無形の資産として買い取る方法です。

例えば、複数店舗を展開している会社の飲食店を買い取る場合、①では全ての店舗を会社ごと、事務機能等も含めて譲り受けます。②では、譲り受けたい店舗に絞って、例えば1店舗だけの店舗設備等を買い取ります。

株式譲渡方式の場合、未払残業代、税金・社会保険の未払い、過去の法令違反、損害賠償、顧客とのトラブル、納品した製品に対する責任、従業員の雇用義務などのリスクを全て引き継ぐことになり、ものすごく大きなリスクを抱えることになります。事業を引き継いだ後、思わるトラブルに巻き込まれる可能性があります。

それに対し、事業譲渡方式の場合、そういったリスクを切り離して事業を譲り受けることができるので、中小零細企業のM&Aでは、こちらを前提に進めることをまずは考えるべきです。学習塾、エステ、建設業のように、前受金が多額に生じるような業種では、契約途中の事業をどう引き継ぐかは注意しなければいけないません。

M&Aをきっかけに事業は急成長する可能性があります。社長の打ち手の一つとして、選択肢に入れておいてもよいのではないでしょうか。

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